私の靖国問題 ― 2005/08/14 21:04
数年前の夏に神楽坂のS子から「靖国神社のお祭りに行かない?」と誘われました。どんなお祭りかと思ったら「御霊祭り」(みたままつり)でした。誰か先祖や家族に戦死者でもいるのかと思ったのですが、S子は単純に「屋台が出るのが楽しみで小さい時から毎年来てるの」とはしゃいでいました。
境内には英霊たちを祀るたくさんのぼんぼりがたかれて、旧軍人たちによる歌や出し物などがとり行なわれていました。その時代の同僚の人たちが集まって軍歌を歌っているのを見てちょっと胸に来るものがありました。
しかし、地元民であるS子はうれしそうにたこ焼きを食べたり、飴を買ったりしてすっかりフツーにお祭り気分に浸っていました。そして私に「縁結びのお守り買わない?」と言うのでした。「え、どうして?私は縁結びはいらいないし、だいたいここはそういうお守りを売っているような神社ではないでしょ」と言った時に、S子がお守りの授与所を指差して「これよ、かわいいでしょ。ここの縁結びはすっごくかわいいからおすすめなの」とおしえてくれました。
私はその時まで、靖国神社に「かわいい」かどうかは別にしても、縁結びのお守りを売っているとは思ってもみませんでした。その時私が見た縁結びのお守りはピンクのかわいいものでした。
私が驚いていたのをS子が不思議そうにしたので、まさかと思ってS子に聞いてみたら、やっぱりでした。28歳のS子は、近所に住んでいるというのに、靖国神社が何を祀っている神社なのかも、このお祭りが何のお祭りなのかも、全く知らなかったのでした。S子はこの近隣の私立大学を出て、今は普通に社会人で暮らしている人なので特別に悪い例とは思えません。
翌年に、またS子に御霊祭りに誘われて、今度は30歳の主婦M子も一緒に行くことになりました。今度はS子が得意げに私から聞いた靖国神社の話をM子にしました。M子は嬉しそうに「うわあ、ためになるわ~」と言っていました。
こうなると、一体どれほどの人が、首相の「靖国神社参拝」問題を理解したり関心を持ったりしているかは、あやしいものだと思いました。この問題を心配しているアジアの人たちがこれを知ったらさぞ驚くことでしょう。
そして今年。春のお花見のシーズンに今度はアメリカ帰りのJ子と靖国神社の夜桜を見に行きました。すると花に近づけないほど地面に花見客があふれかえり、御霊祭りと同じくらいたくさんの屋台が出て食べ物を売っていました。
J子は「すごい、桜の香りがしなくてイカとお酒の臭いがする!こんな恐ろしい風景は初めて見た」と大仰天していました。
J子は靖国神社の意味を知っていたので、「こんな酔っ払いたちに神社を開放していいのかしら」と憤っていました。
それでも夜だからなのか、酔っ払いを防ぐためだからなのか、拝殿前の門は閉ざされていました。英霊への参拝も縁結びもこの日はお断りと言った感じでした。拝殿の裏の池にJ子と行こうと思っていたので少し残念でした。
境内には英霊たちを祀るたくさんのぼんぼりがたかれて、旧軍人たちによる歌や出し物などがとり行なわれていました。その時代の同僚の人たちが集まって軍歌を歌っているのを見てちょっと胸に来るものがありました。
しかし、地元民であるS子はうれしそうにたこ焼きを食べたり、飴を買ったりしてすっかりフツーにお祭り気分に浸っていました。そして私に「縁結びのお守り買わない?」と言うのでした。「え、どうして?私は縁結びはいらいないし、だいたいここはそういうお守りを売っているような神社ではないでしょ」と言った時に、S子がお守りの授与所を指差して「これよ、かわいいでしょ。ここの縁結びはすっごくかわいいからおすすめなの」とおしえてくれました。
私はその時まで、靖国神社に「かわいい」かどうかは別にしても、縁結びのお守りを売っているとは思ってもみませんでした。その時私が見た縁結びのお守りはピンクのかわいいものでした。
私が驚いていたのをS子が不思議そうにしたので、まさかと思ってS子に聞いてみたら、やっぱりでした。28歳のS子は、近所に住んでいるというのに、靖国神社が何を祀っている神社なのかも、このお祭りが何のお祭りなのかも、全く知らなかったのでした。S子はこの近隣の私立大学を出て、今は普通に社会人で暮らしている人なので特別に悪い例とは思えません。
翌年に、またS子に御霊祭りに誘われて、今度は30歳の主婦M子も一緒に行くことになりました。今度はS子が得意げに私から聞いた靖国神社の話をM子にしました。M子は嬉しそうに「うわあ、ためになるわ~」と言っていました。
こうなると、一体どれほどの人が、首相の「靖国神社参拝」問題を理解したり関心を持ったりしているかは、あやしいものだと思いました。この問題を心配しているアジアの人たちがこれを知ったらさぞ驚くことでしょう。
そして今年。春のお花見のシーズンに今度はアメリカ帰りのJ子と靖国神社の夜桜を見に行きました。すると花に近づけないほど地面に花見客があふれかえり、御霊祭りと同じくらいたくさんの屋台が出て食べ物を売っていました。
J子は「すごい、桜の香りがしなくてイカとお酒の臭いがする!こんな恐ろしい風景は初めて見た」と大仰天していました。
J子は靖国神社の意味を知っていたので、「こんな酔っ払いたちに神社を開放していいのかしら」と憤っていました。
それでも夜だからなのか、酔っ払いを防ぐためだからなのか、拝殿前の門は閉ざされていました。英霊への参拝も縁結びもこの日はお断りと言った感じでした。拝殿の裏の池にJ子と行こうと思っていたので少し残念でした。